2025/12/31

新たな年に、一年を健やかに始めるための養生を。悪鬼を屠り、魂を蘇生させる。子どもも大人も、家族みんなでできる方法をご紹介します。

 

お屠蘇とは?



由来と意味、現代の暮らしに合う取り入れ方

はじめに

お正月にいただく「お屠蘇(おとそ)」。
お酒の印象が強いかもしれませんが、
本来は一年の健康を願うための養生の知恵です。


今の暮らしや体調に合わせて、
やさしく取り入れることができます。

お屠蘇は、
新しい年を迎えるために
心身の状態を整え、
巡りをよくするための“準備”。

今回は、その由来をふまえながら、
取り入れ方をご紹介します。


お屠蘇の由来と意味

お屠蘇は、
山椒・陳皮(ちんぴ)・桂皮(けいひ)など、
複数の生薬を調合した「屠蘇散」を、
清酒やみりんに浸していただく伝統があります。

「屠蘇」という言葉には、

  • 悪鬼(病や不調、目に見えない災い)を退け

  • 生気・生命力をよみがえらせる

という意味が込められています。

ここでいう悪鬼とは、
恐ろしい存在というよりも、
疫病や冷え、巡りの滞り、
季節の変わり目に起こりやすい心身の弱りなど、
生命力を削ぐものの象徴

その起源は中国にさかのぼり、
名医・華佗(かだ)に始まると伝えられています。
平安時代に日本へ伝わり、
宮中行事として定着しました。


なぜ「養生」なの??

屠蘇散に使われる生薬には、

  • 体を内側から温める

  • 胃腸の働きを整える

  • 巡りを促し、季節の変化に適応しやすい体をつくる

といった働きが、古くから期待されてきました。

つまりお屠蘇は、
「祝うために飲むお酒」ではなく、
一年を健やかに始めるための養生

年のはじめに、
体と心の状態をリセットし、
生気が自然に巡る土台を整える。

それは、
ヨガ、アーユルヴェーダでも大切にしていること。


現代の暮らしに合う取り入れ方

必ずしもアルコールである必要はありません。

  • ノンアルコールで

  • スパイスティーとして

  • チャイ風にアレンジして

体質や年齢、家族構成、
その年の体調に合わせて、
無理のない形で取り入れることができます。

大切なのは、
今の自分にとって心地よいかどうか。 


かんたん お屠蘇チャイ

材料(1〜2杯分)

  • 水 200ml

  • ミルク(豆乳・オーツミルクなどお好みで)100〜150ml

  • お屠蘇または下記のスパイスでも

  • 山椒 少々

  • 陳皮(乾燥みかんの皮)ひとつまみ

  • 桂皮(シナモンスティックまたはパウダー)少量

  • 生姜(薄切り)2〜3枚

  • クローブ 少々(効能が強いけれど、味も強いので子どもと飲む場合は少量で)

  • 黒糖 お好みで

  • 紅茶のティーバッグ 1個(なくても大丈夫)

作り方

  1. 小鍋に水、お屠蘇または生姜、スパイス類を入れ、弱火で5分ほど温める

  2. 紅茶を淹れる場合は、香りが立ってきたら加え、さらに1〜2分

  3. ミルクを加え、沸騰させないように温める

  4. 火を止め、甘みを加えて完成

体を内側から温め、
呼吸が自然と深くなる一杯です。

ポイント

  • スパイスはすべて揃えなくても大丈夫

  • 冷えやすい方は生姜を多めに

  • 胃腸が弱い方は薄めに

  • 小さなお子さんにはスパイスを少量で

養生は、
何かを足すことではなく、
本来の巡りを取り戻すこと

お屠蘇に込められた
「悪鬼を退け、生気をよみがえらせる」という願いも、
今の言葉に置き換えれば、
生命力が自然に立ち上がる状態を整えるということ。

一年のはじまりに、
あたたかい一杯とともに、
呼吸を整え、
静かに自分の内側へ戻る時間を。

そこから、
新しい年は、すでに始まっています。

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